Linux(リナックス)完全ガイド
1 はじめに
Linuxとは何か
Linuxは、オープンソース(無料かつ改変可能)なオペレーティングシステム(OS)、正確にはその中核となる「カーネル」のことです。 WindowsやmacOSと同様に、コンピュータのハードウェアとソフトウェアを管理し、ユーザーが操作できる環境を提供しますが、最大の特徴は「誰でも自由に使い、改良し、再配布できる」点にあります。
なぜ今、Linuxが重要なのか
世界中のWebサーバーの大部分、スーパーコンピュータのトップ500すべて、そしてAndroidスマートフォンのベースとして、Linuxは現代のITインフラを支えています。 クラウドコンピューティング(AWS, Google Cloudなど)やコンテナ技術(Docker, Kubernetes)の標準プラットフォームであるため、エンジニアにとってLinuxの理解は必須スキルと言っても過言ではありません。
2 ビギナー向け・ドキュメント
概要:車のエンジンと車体
Linuxを理解するために、よく「車」に例えられます。
- Linuxカーネル: エンジンそのもの。これだけでは運転しにくい。
- Linuxディストリビューション: エンジンにハンドル、座席、タイヤ、ボディを取り付けた完成車(例:Ubuntu, CentOS, Debian)。
初心者が「Linuxを使う」という場合、通常はこの「ディストリビューション(配布形態)」を選んでインストールすることを指します。
公式情報・主要リソース
Linuxそのものの公式と、主要なディストリビューションのドキュメントです。
- The Linux Kernel Archives (公式カーネル): https://www.kernel.org/
- The Linux Foundation: https://www.linuxfoundation.org/
- Ubuntu (初心者におすすめ): https://ubuntu.com/
- Arch Linux Wiki (技術詳細が豊富): https://wiki.archlinux.org/
導入:Hello World (ターミナル操作)
Linuxの基本はCLI(コマンドラインインターフェース)での操作です。ターミナルを開いて、以下のコマンドを試してみましょう。
# 現在のディレクトリを確認する
pwd
# ディレクトリ内のファイル一覧を表示する
ls -la
# 文字列を出力する(Hello World)
echo "Hello, Linux World!"
3 会話集
エンジニアの現場や学習の場でよくあるQ&Aです。
Q1. なぜWindowsではなくLinuxをサーバーに使うのですか?
Aさん: 「最大の理由はコストと安定性だね。ライセンス料が基本無料で、不要な機能を削ぎ落とせるから動作が軽快で安定しているんだ。あと、コマンドラインでの自動化がしやすいのも大きいよ。」
Q2. 「ディストリビューション」が多すぎてどれを選べばいいかわかりません。
Bさん: 「最初はUbuntuを選べば間違いないよ。ユーザーが多いから、困ったときに検索すればすぐに解決策が見つかるからね。サーバー用途の勉強ならRocky Linux(旧CentOS系)もおすすめかな。」
Q3. 黒い画面(ターミナル)が怖いです...。
Cさん: 「最初はみんなそうだよ(笑)。でも、慣れるとマウスでポチポチ探すより圧倒的に速いんだ。まずはファイルを作ったり移動したりする簡単なコマンドから慣れていこう。」
4 より深く理解する為に
アーキテクチャの裏側
Linuxシステムは大きく分けて以下の階層で成り立っています。
- ハードウェア: CPU、メモリ、ディスク。
- カーネル (Kernel Space): ハードウェアを直接制御し、メモリ管理やプロセススケジューリングを行う特権モード。
- システムコール: カーネルとユーザー空間をつなぐAPI。
- ユーザー空間 (User Space): シェル、GUI、Webブラウザ、Apacheなどのアプリケーションが動く場所。
メリット・デメリット
- メリット:
- オープンソース: 透明性が高く、セキュリティホールが早く修正される傾向がある。
- カスタマイズ性: デスクトップ環境からカーネルの挙動まで自由に変更可能。
- パフォーマンス: 低スペックなマシンでも動作させることが可能。
- デメリット:
- 学習コスト: コマンド操作や権限周りの知識が必要。
- 互換性: Windows専用のソフト(Officeや一部のゲーム)がそのままでは動かない場合がある。
実務でのユースケース
- Webサーバー構築: LAMP環境 (Linux, Apache, MySQL, PHP/Python/Perl) は古典的かつ王道の構成。
- DevOps/CI/CD: 自動化スクリプトはLinuxシェル(Bash)で記述されることが一般的。
- IoT/組み込み: Raspberry Piなどの小型デバイス制御。
5 関連ワード
この記事を理解する上で重要なキーワードです。
- Shell (シェル):
- ユーザーからの命令をカーネルに伝えるインターフェース。
bashやzshが有名。
- ユーザーからの命令をカーネルに伝えるインターフェース。
- Root (ルート):
- WindowsでいうAdministrator。システムに対する全権限を持つ特権ユーザー。操作には注意が必要。
- Package Manager (パッケージマネージャ):
- ソフトのインストールや管理を行うツール。
apt(Ubuntu系) やyum/dnf(RedHat系) がある。スマホのApp Storeのようなもの。
- ソフトのインストールや管理を行うツール。
- SSH (Secure Shell):
- 遠隔地のLinuxサーバーに安全に接続して操作するためのプロトコル。
- Filesystem Hierarchy Standard (FHS):
- ディレクトリ構造の標準規格。
/(ルート) を頂点に、/home,/etc,/varなど役割が決まっている。
- ディレクトリ構造の標準規格。
6 要点チェック
- [ ] Linuxはカーネルであり、OSとして使うにはディストリビューション(Ubuntuなど)が必要。
- [ ] 世界中のサーバーやインフラの標準となっており、エンジニア必須のスキル。
- [ ] 基本操作はCLI(コマンドライン)で行うことが多く、自動化に優れている。
- [ ] オープンソースであるため、誰でも無料で利用・改良ができる。
- [ ] 「習うより慣れろ」の精神で、まずはターミナル操作から始めるのが近道。