FullStackEngineer 2026年1月1日更新

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【保存版】モダンAPI入門:GraphQL, gRPC, WebSocket, HTTP/3の基礎と選び方

1 はじめに

Web開発の現場では長らく「REST API」が標準として君臨してきましたが、近年、アプリケーションの複雑化や通信環境の変化に伴い、新しい通信技術(モダンAPI)の採用が進んでいます。

「モバイル回線でも高速に表示したい」「リアルタイムなチャット機能を実装したい」「マイクロサービス間の通信を最適化したい」――こうした現代の課題は、従来のRESTだけでは解決が難しくなっています。

本記事では、次世代のスタンダードとなりつつあるGraphQL, gRPC, WebSocket、そして基盤となるプロトコルHTTP/3 (QUIC)について、それぞれの特徴と使いどころを解説します。


2 ビギナー向け・ドキュメント

まずは、各技術が「何のために生まれたのか」という背景と基本概念を整理します。

1. GraphQL (グラフ・キューエル)

Meta (旧Facebook) が開発したクエリ言語です。 * 特徴: クライアント(フロントエンド)が「欲しいデータ」を具体的に指定して取得できます。 * RESTとの違い: RESTでは複数のURLを叩く必要があった情報を、1回のリクエストでまとめて取得できます(Overfetching/Underfetchingの解消)。

2. gRPC (ジー・アールピーシー)

Googleが開発した、高性能なRPC(Remote Procedure Call)フレームワークです。 * 特徴: Protocol Buffersというバイナリ形式を使ってデータをシリアライズ(軽量化)するため、通信が非常に高速です。 * 用途: 主にサーバー同士の通信(マイクロサービス間)で威力を発揮します。

3. WebSocket (ウェブソケット)

サーバーとクライアント間で「双方向通信」を実現するプロトコルです。 * 特徴: 一度接続を確立すると、その後はサーバー側から能動的にデータをプッシュできます。 * 用途: チャット、オンラインゲーム、株価チャートなど、リアルタイム性が求められる機能。

4. HTTP/3 (QUIC)

Web通信の基盤であるHTTPプロトコルの最新メジャーバージョンです。 * 特徴: 従来のTCPではなく、UDPベースの「QUIC」という技術を採用。通信の確立が速く、パケットロス時の遅延(Head-of-Line Blocking)を防ぎます。

公式ドキュメント・推奨リソース


3 会話集

技術選定の会議や、メンバーへの説明で使える「比較」と「例え話」です。

ケース1:フロントエンドエンジニアから「GraphQLを使いたい」と言われたら

エンジニア: 「RESTだと画面表示に必要なデータを集めるのにAPIを3回も叩かないといけなくて... GraphQLにしませんか?」

あなた: 「なるほど。『ビュッフェ形式』にしたいということだね。」

エンジニア: 「ビュッフェですか?」

あなた: 「RESTは定食メニューだから、食べたくない小鉢もついてくるし、足りなければ別の定食も頼まないといけない(Over/Underfetching)。でもGraphQLなら、好きな具材を好きなお皿に、一度で盛ってこれるからね。通信回数が減ってスマホユーザーにはメリットが大きそうだ。」

ケース2:マイクロサービス化で「gRPC」を提案する場合

あなた: 「バックエンドのサービス間通信はRESTのJSONではなく、gRPCに切り替えましょう。」

上司: 「JSONじゃダメなのか?」

あなた: 「JSONは人間には読みやすいですが、機械が読むにはデータが重すぎます。gRPCは『圧縮された暗号のようなバイナリデータ』を送るため、サイズが小さく爆速です。内部通信のような大量のやり取りが発生する場所では、この軽さがシステム全体の性能を左右します。」


4 より深く理解する為に

各技術の適材適所を理解するための比較と、HTTP/3の革新性について深掘りします。

技術選定マトリクス

技術 データ形式 主な用途 強み 弱点
REST JSON 一般的なWeb API シンプル、キャッシュが容易 通信回数が増えがち
GraphQL JSON モバイルアプリ、BFF 必要なデータだけ取得、型定義 クエリが複雑化、キャッシュが難しい
gRPC Protocol Buffers (バイナリ) マイクロサービス間通信 高速、厳格な型定義 ブラウザから直接扱いづらい
WebSocket テキスト/バイナリ チャット、通知 リアルタイム双方向 サーバーのリソース消費が大きい

HTTP/3 (QUIC) が解決する「Head-of-Line Blocking」問題

従来のHTTP/2(TCP)では、パケットが一つでも欠落すると、その後ろのデータがすべて待たされる「渋滞」が起きていました。 HTTP/3(UDPベースのQUIC)では、各ストリームが独立しているため、一つのパケットがロスしても、他のデータの転送は止まりません。 これにより、不安定なモバイル回線でもサクサク動くWeb体験が可能になります。


5 関連ワード

開発現場で頻出する周辺用語です。

用語 解説
Schema (スキーマ) データの構造定義。GraphQLやgRPCでは、あらかじめ「どんなデータを送るか」を厳格に定義する必要がある(Schema First開発)。
Protocol Buffers (Protobuf) gRPCで使用されるデータの直列化フォーマット。XMLやJSONよりはるかにサイズが小さく、パース(解析)が速い。
N+1問題 GraphQLなどで発生しやすいパフォーマンス問題。データ一覧を取得した後、その個々のデータに関連する情報を取得するために、無駄に大量のクエリが発行されてしまう現象。
BFF (Backend For Frontend) フロントエンド専用のバックエンド。ここで複数のマイクロサービス(gRPCなど)を束ねて、フロントエンドにはGraphQLで返す、といった構成が人気。

6 要点チェック

モダンAPI技術導入の際の判断基準を整理しましょう。

  • [ ] 柔軟性: クライアント側でデータ要求をコントロールしたいなら GraphQL
  • [ ] パフォーマンス: 内部通信や速度最優先なら gRPC
  • [ ] 即時性: サーバーからユーザーへ通知を送りたいなら WebSocket
  • [ ] 次世代通信: 不安定な回線でも高速に通信させたいなら HTTP/3 の対応を検討する。
  • [ ] 型安全性: GraphQLとgRPCはスキーマ(型)があるため、開発時のミスを減らしやすい。

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