【保存版】モダンフロントエンド入門:React, Next.js, TypeScriptの基礎知識
1 はじめに
かつてWebサイト制作といえば、HTMLとCSS、そして少しのjQueryで動きをつけるのが主流でした。しかし、現在のWeb開発(モダンフロントエンド)は、「アプリケーションのような複雑な機能」と「高速な表示速度」の両立が求められています。
これを実現するためにデファクトスタンダードとなっているのが、Reactを中心としたエコシステムと、それを包括するフレームワークNext.jsです。
本記事では、現代のWeb開発に欠かせないこれらの技術スタックについて、なぜ使われるのか、何ができるのかを体系的に解説します。
2 ビギナー向け・ドキュメント
まずは、主要なプレイヤー(技術)の関係性を整理します。
React (リアクト)
Meta (旧Facebook) が開発したUI構築のためのライブラリです。 * 特徴: 画面の要素を「コンポーネント(部品)」として作成し、それらを組み合わせてページを作ります。データが変更されると、該当する部品だけを効率的に再描画します。 * 役割: UI(見た目と動き)を作るための「パーツ工場」。
Next.js (ネクスト・ジェイエス)
Vercel社が開発した、Reactベースのフレームワークです。 * 特徴: Reactだけでは設定が大変な「ページ遷移(ルーティング)」や「サーバー側での描画(SSR)」などの機能を、最初からセットにして提供しています。 * 役割: Reactというパーツを使って、実際に住める家(Webアプリ)を建てるための「建設キット」。
TypeScript (タイプスクリプト)
JavaScriptに「型(Type)」の概念を加えた言語です。 * 特徴: 「ここは数字が入るはずなのに文字が入っている」といったミスを、コードを実行する前に教えてくれます。 * 役割: 開発中のバグを防ぎ、大規模な開発を安全に進めるための「安全装置」。
公式ドキュメント・推奨リソース
- React公式サイト (日本語版あり): 2023年にリニューアルされ、図解が多く非常に分かりやすいです。
- Next.js公式サイト: ドキュメントの質が高く、チュートリアルも充実しています。
- TypeScript Deep Dive (日本語版): TypeScriptを深く学びたい人向けの名著。
3 会話集
技術的な関係性を、非エンジニアやビジネスの現場で説明する際に役立つ「例え話」と「会話スクリプト」です。
ケース1:マーケ担当に「ReactとNext.js、どっちを使えばいいの?」と聞かれたら
あなた: 「料理で例えると、Reactは『最高級の包丁』で、Next.jsは『システムキッチン』です。」
マーケ担当: 「ほう、その心は?」
あなた: 「包丁(React)だけでも料理は作れますが、火加減や水道の配管(ルーティングや配信設定)を全部自分でやるのは大変ですよね? Next.jsというシステムキッチンを使えば、最初からコンロもシンクも揃っているので、美味しい料理(Webサイト)を作ることだけに集中できるんです。だから基本はNext.jsを選びましょう。」
ケース2:JavaScriptではなくTypeScriptを採用する理由を聞かれたら
あなた: 「開発スピードと安全性のためにTypeScriptを採用します。」
上司: 「新しい言語を入れると学習コストがかかるのでは?」
あなた: 「確かに最初は少し勉強が必要ですが、『書き間違いを自動添削してくれる機能』がついているようなものです。JavaScriptのままだと、本番公開後に『あ、数字の計算間違えてた!』というバグが起きやすいですが、TypeScriptならコードを書いている最中に『そこ間違ってますよ』と教えてくれます。結果的に手戻りが減り、トータルの開発期間は短くなります。」
4 より深く理解する為に
モダンフロントエンドの肝である「レンダリング手法」と、パフォーマンスへの影響について深掘りします。
[Image of CSR vs SSR vs SSG rendering diagram]
レンダリング(描画)手法の違い
Next.jsが支持される最大の理由は、これらをページごとに使い分けられる点にあります。
- CSR (Client Side Rendering):
- ブラウザ(ユーザーの端末)でJavaScriptを動かして画面を作る。
- 初期表示は遅いが、その後の操作はサクサク。管理画面などに最適。
- SSR (Server Side Rendering):
- サーバー側でHTMLを作ってから送る。
- 常に最新のデータを表示でき、検索エンジン(SEO)にも強い。
- SSG (Static Site Generation):
- ビルド時(公開前)にHTMLをあらかじめ作っておく。
- アクセス時はファイルを返すだけなので爆速。ブログやLPに最適。
React Server Components (RSC)
最新のReact/Next.js(App Router)で導入された技術です。 「サーバーで実行する部品」と「ブラウザで実行する部品」を明確に分けることで、ブラウザに送るJavaScriptの量を減らし、スマホなどの低スペック端末でも高速に動作させることができます。
5 関連ワード
開発現場で飛び交う、周辺ツールや概念です。
| 用語 | 解説 |
|---|---|
| Vercel | バーセル | Next.jsの開発元が提供するホスティングサービス。GitHubと連携し、コードを保存するだけで自動的に公開(デプロイ)してくれる。 |
| Tailwind CSS | テイルウィンド | CSSファイルを書く代わりに、HTMLクラスに text-red-500 のように書いてデザインするフレームワーク。Reactコンポーネントと相性が抜群。 |
| Hydration | ハイドレーション | サーバーから送られてきた乾いたHTML(抜け殻)に、ブラウザ側でJavaScriptの水を与えて、動的な機能(ボタンクリックなど)を復活させる処理。 |
| Lighthouse | ライトハウス | Googleが提供するWebサイトの成績表ツール。パフォーマンスやSEOを点数化できる。 |
| SPA | シングル・ページ・アプリケーション | ページ遷移のたびに画面を白く再読み込みせず、アプリのように滑らかに切り替わるWebサイトの構造。 |
6 要点チェック
モダンフロントエンド環境を選択する意義を整理しましょう。
- [ ] コンポーネント指向: ボタンやヘッダーを部品化し、再利用することで開発効率を上げる。
- [ ] ユーザー体験 (UX): ページ遷移が高速で、アプリのような操作感を提供する。
- [ ] 開発者体験 (DX): TypeScriptによる型安全性や、ホットリロード(保存したら即画面反映)により、快適に開発できる。
- [ ] エコシステム: 世界中で使われているため、ライブラリや知見が豊富にある。